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JKT48コンサート、人気のピークとハードワーク?

1年前は特定のテレビ局に出演するのみであったJKT48が今や、ほぼ全局の番組に姿を見せるようになった。市場を席巻する女性音楽グループの活躍は今に始まったことではないが、先日行われたJKT48初の全国ツアーはその成功を裏付けるものとなった。
JKT48によるアイドルグループというコンセプトがインドネシアの音楽界に浸透し始めてから2年。その努力が実り、JKT48が初のコンサートツアーを開催した。音楽のみならず、イメージ戦略、ショッピングモールの専用劇場での長期にわたる定期公演、地方都市への訪問など、あらゆるメディアをにぎわせてきたJKT48がついに、グループ初となる国内ツアー開催に踏み切った。

全国5都市で行われたコンサートツアー「はじめまして、JKT48と申します」は学校の長期休暇期間に合わせて開催された。マカッサル、ソロ、バリクパパン、スラバヤを回った一連のツアーはジャカルタで盛大なフィナーレを迎えた。このジャカルタ公演は他の都市とは異なり、2日間で3公演が行われた他、51人のJKT48全メンバーが会場となったスナヤン・インドア・テニスのステージに立った。ジャカルタ以外の地域では、(チームJという呼び名で知られる)JKT48初のチームから選ばれた十数名のメンバーによる公演が行われた。これは、チームJのメンバーたちが(テレビ広告や番組出演などを通じて)より全国的な知名度を得ているからだ。

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こうした最終公演の特別さゆえに、地方から多くのファンがジャカルタへ詰めかけた。ソーシャルメディアに出回るあらゆる情報を得て(JKT48のツイッターやフェイスブックでの熱心な取り組みは、インドネシアの芸能人の中でも数歩先を行く)、JKT48の(大半が熱狂的な)ファンたちは続々とジャカルタへ向かった。私たちもマカッサルから来たJKT48ファンの一行と出会う機会があった(彼らはおそろいのユニフォームを着用することでアイデンティティを示していた)。このようなファンの高い忠誠心は他のボーイバンド/ガールバンドには見られないものだ。

私たちが参加した7月4日の最終公演は、夜7時を少し回ったころに始まった。想像通り、観客の80パーセントが若い男性で占められており、残りは幅広い年齢層の女性、子供、および成人男性だった。私たちは会場の入場ゲートが開くおよそ2時間前に列に加わったが、出遅れた感は否めなかった。数百人の熱狂的なファンは最前列の席を確保しようと昼ごろにはすでに並んでいたからだ。平日開催という事もあり、ちょうど長期休暇中の学生たちにとっては有利な条件がそろっていた。一般のファンは早い時間から並ぶことはできないため、ステージから遠い席で我慢するしかなかった。私たちの知り合いのひとりなどはJKT48のジャカルタ公演を全て見るために有給休暇を使ったほどだ。数千人の観客たち―中には(2日間で3回行われた)ジャカルタでの全公演を見たファンもいたはずだ―は3カ所で持ち物検査が義務付けられていた(他のアーティストはおそらく1回程度)。これはカメラやビデオを持ち込む観客は何人たりとも入場ゲートをくぐらせないという主催者側の決意の表れだろう。同様の規則はJKT48専用劇場の公演でも設けられているが、実際にはコンサート終了の翌日には、コンサートを録画したファンたちがその動画をユーチューブに投稿するという状況が続いていたからだ。
 
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会場となったスナヤン・インドア・テニスはこれまでに、海外組を含む数多くのアーティストがコンサートを行なってきたことで知られる。JKT48のような若い女性グループがこのような大規模な会場でコンサートを開催することになるなど、いったい誰が想像できただろうか。このところ人気に火が付いたボーイバンド・ガールバンドブームの最中に登場したJKT48 は、今では一部の層から追随されるまでに評価されてきている。だが、効果的な市場戦略によって、JKT48は同様のカテゴリーに属する他のグループとは一線を画す、抜きんでた存在となっている。これはもちろん、(2005年から)8年にわたって活動を続けてきた先輩格のAKB48の事を考えれば、まだほんの始まりに過ぎない。インドネシアでは、芸能界で成功したとしても短命で終わる場合が多い。過去にはインドネシアの芸能界が、歌手のアナンとそのパートナーであるユーチューブの人気者やシャフリニなどによって席巻されたことがある。だが、全国的な人気を誇ったシャフリニでさえ、いまだにスナヤン・インドア・テニスと同規模の会場で単独(かつ大規模な)コンサートを開催した事はない。この点は特に明記しておきたい。シャフリニ運営も今一度考える必要があるだろう。

2時間を超えて行われたコンサートではおよそ20曲が歌われた。曲数に合わせた数多くの振り付けを総勢51名のJKT48メンバーたちが代わる代わる披露した。ステージは溢れんばかりのエネルギーに満ち溢れ(JKT48のほとんどの曲がアップテンポなものだ)、それは観客席にいる私たちも感じていた。会場には数千のライトスティックが振られていたが、それは熱狂的なJKT48ファンにとってはもはや欠かすことのできないものとなっている(ペンライトに関するビジネスもようやく軌道に乗ったようだ)。ペンライトの売り上げは伸び続けており、JKT48のためだけに用いられる。中には観客席で激しい踊りを見せる者もいた。ペンライトを持たない観客は座席で声を張り上げ、体を激しく揺らすのみであった(ロックミュージックのコンサートでは当たり前のようにみられる光景だが、JKT48の場合はその限りではない)。ちょうど私たちの前の座席の観客がこうした行為をしていたのだが、率直に言って迷惑この上なかった。迷惑な行為は他にもあった。後から来る仲間のための席取りがそれだ。主催者側は厳しい目を光らせていたようだが、観客の方が一枚上手だった。私たちからそれほど離れていない場所に座っていた観客は、運営から隣の空席について質問されると「(この座席の主は)礼拝中なんです」と言い訳をしていた。同様の事態はJKT48劇場でも起こっている。
 
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なんとも楽しいコンサートだった。数多くの仕掛けがステージ上で披露された。ボールを投げたり、客席に水鉄砲を打ち込んだり、JKT48の総勢51人のメンバーが同時にステージ上に姿を見せたりもした(その結果、舞台装置はもはや重要な要素ではなくなった)。JKT48の芸能界でのキャリアはこれからも続いていく。自身が一過性の存在ではないことを証明するためには、少なくともあと5年の月日が必要とされるはずだ。彼女たちの登場はまるで人々の腹の中に非常に多くの食べ物を与えるようなものだ。(中には、JKT48と握手するために内ポケットを探っている者もいる)。

JKT48が見せてきた楽曲や甘いイメージの裏では(広告、グッズやアルバムの販売といった)ビジネスという車輪が激しく回転している。彼女たちの可愛らしい顔からは想像もできないことではあるが、JKT48メンバーの間には表だっては語られることのない競争が存在している(数多くのメンバーがいるがゆえに、自身が新曲の選抜メンバーに相応しい存在であることを他のメンバーと競い合う中で証明しなければならないからだ。人数の少ない他のグループにはこうした規則は存在しない)。私たちにできるのはそれを楽しむ事だけだ。冒頭で述べたとおり、彼女たちは芸能界で活躍するアイドルグループなのだから。仮に来年、JKT48の輝きに陰りが見えたとしても、それはひとつのサイクルであり、自然淘汰であると言える。だが、来年私たちがアンコールを叫ぶ機会はどんな時も閉ざされてはいない。

2013年7月8日「Fimela.com」

今回の記事で言及されているJKT48ジャカルタ公演の様子

【管理人コメント】
JKT48の国内ツアー最終公演会場となったジャカルタのスナヤン・インドア・テニスが現地で持つ意味を含めて非常に参考なる記事でした。グループ初となる国内ツアーを終えた後も、「JKT48 The Movie」の制作発表冠番組「JKT48 Missions」(毎週日曜日放送)、新曲「恋するフォーチュンクッキー」の日本・インドネシア同時発売やファンの人気投票による劇場リバイバル公演などで話題を集めてきたJKT48。シングル「River」が先週放送されたある音楽番組のランキングで2位を記録するなど、その人気に陰りは見えません。現在117万回を数えるJKT48公式フェイスブックページの「いいね!」の数も人気を裏付けるひとつの指標となるはずです。少なくとも、JKT48は今インドネシアで最も勢いのあるグループのひとつであると言っても差し支えはないでしょう。

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