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タイトルにある通りですが、昨年2012年9月に発売された『JKT48公式ガイドブック(The 1st Official Guide Book - Love JKT48)』からAKB48総合プロデューサーの"やすす"こと秋元康さんのインタビューをご紹介します。

秋元康が秋葉原でAKB48を結成したのは2005年12月のこと。AKBグループの総合プロデューサーでもある彼の目には、誕生したばかりのJKT48はどのように映っているのだろうか。

「いつの日かJKT48にもユニークな個性が生まれると信じています。そして、その素晴らしい瞬間が訪れる時を私は待っているのです」
●プロフィール
作詞家。高校時代から放送作家としての才能を示し、日本の様々な有名番組向けの台本を執筆する。1983年以降は作詞家として活動し、多くのヒットソングを生み出す。そして、もちろんAKB48グループの楽曲でも作詞を手掛けている。2011年には自身が作詞を手掛けたAKB48のシングルがオリコン年間チャートで1位から5位を独占し、それら5曲が全てミリオンセラーを達成するという記録も打ち立てた。中でも、シングル「フライングゲット」は第53回日本レコード大賞を受賞している。

JKT48結成の6年前、AKB48がまず先に日本の秋葉原でデビューした。この日本の芸能界を席巻するグループはどのようにして誕生したのだろうか。

「2005年のことです。私は当初、劇場グループを作りたいと思っていましたが、変わり映えのしないステージを毎日見せていたのでは、観客もすぐに飽きてしまうだろうという不安もありました。私自身、歌を伴ったダンスステージが作れれば非常の面白いだろうなと考えていました。そして、最終的にアイドルをプロデュースすることを決めました。その後、私は公演用の場所を探しました。その当時、秋葉原はたまたまユニークな萌え文化で盛り上がっていたため、秋葉原を本拠地として決めました。この土地の熱気をうまく取り入れることで、私は秋葉原を流行の発信源とするべく、劇場建設の構想を得たのです」

そして、計画が進められる中で、「会いに行けるアイドル」というコンセプトが誕生した。この「会いに行けるアイドル」というコンセプトは次第に広まっていった。

「当初、AKB48の全公演で秋葉原以外から集まったファンのために座席を用意していました。ただ、これはファンの皆さんに面倒をかけすぎているなと感じるようになったので、私たちは名古屋、大阪、博多(福岡)といった秋葉原以外の場所に姉妹グループを作りました。コンセプトはそれまでと変わりません。なぜなら、AKB48と同様に、大事なことは『定められた場所がある』ということだからです。同じ場所で公演を行うことで、固定ファンがつき、意味のあるコンテンツとなるのです」

その後、AKB48はインターネットを通じて世界中に知られていき、海外でのイベントにも招待されるほどになった。そうした人気の最中、海外に姉妹グループを作るという構想が持ち上がった。そして、インドネシアのジャカルタに、海外で初となるJKT48の姉妹グループが誕生した。

「私はAKB48のオーディションと同様の方法と考え方でJKT48のメンバーを選びました。選抜において私が基本としているのは、ユニークな顔立ちや振る舞い、もしくは魅力を持った興味深い能力を見つけることです。メンバー選抜後は、歌とダンスのレッスンを行なった上で公演に備えます。現時点ではまだAKB48が初めて結成された時と同じ道筋をたどっています」

しかし、アイドルグループが成功するために最も必要なものは「時間」だという。

「このプロセスは急いで進めることはできず、出来る限り成り行きに任せなければなりません。もしあまりにも過保護になってしまえば、細かすぎる指示を与えることになり、すべてが『不自然』と言えるほどに型にはめられてしまうからです。だから、私は状況と場所を用意するだけです。それ以外は、JKT48メンバーそれぞれが与えられた状況と場所の中で自由に活動することができます。こうすることで、今後のイベントが真剣に開催され、もちろんメンバーだけではなく、ファンたちも熱心かつ積極的に関わってくれることでしょう。拍手、声援、アンコールの掛け声など...それら全てが貴重な経験となっていくはずです。ひとつずつ経験を得ていくことで、そうした努力のプロセスにおいて、メンバーたちが少しずつ変わっていき、やがてはユニークな個性が生まれるのです。その時になって初めて、メッセージや構想を私の口から直接伝えようと思っています。様々な個性からケミストリーが起これば、私にも想像がつかないようなパワーが生まれることでしょう。そのパワーこそが、今のAKB48が持っているものなのです。いつの日かJKT48にユニークな個性が生まれた時に初めて、JKT48独自の特別なステージを作り出すことができるのです」

最後に、総合プロデューサーとして現在のJKT48 のメンバーへのメッセージは?

「私のメッセージは『自分の好きなことをやりなさい』ということです。歌とダンスというのは基本的に人間の本能です。AKB48を見て、それを真似るのは構いませんが、最終的に最も重要なことはどれがカッコよくて、どれが可愛いかを判断する君自身の本能だという事です。例えば、様々な花が植えられた花壇はなぜ美しく見えるでしょうか?一種類の花がきれいに並んでいるだけでは決して感じられない美しさです。色とりどりに咲いた何種類もの花がその花壇を美しくしているのです。その花壇の中には、空気を吸う花もあれば、風に揺られて踊る花、虫に食べられないように努力する花もある。そうした多様性が、その花壇の魅力として映るのです。現在のJKT48は種を植えた後に芽が出てきた段階です。メンバーの皆さん、皆さんが今できる事を思う存分やってみて下さい。JKT48のユニークな花たちが咲き誇る日を待っています」

Love JKT48 - The 1st Official Guide Book, 2012, p. 110.