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新たなCD販売形態を模索するインドネシア音楽業界

CD販売枚数が激減する中、インドネシア音楽産業は新たなアルバム販売の手段を模索している。ガソリンスタンドやフライドチキンチェーン店もCD/カセットの販売拠点となっている。
海賊版販売数の多さや違法ダウンロードサイトの広まりがCDアルバム販売枚数低下の元凶となっている。販売数が減り続けたことで、多くのCDおよびカセット店が閉店を余儀なくされている。その結果、多くのレコード会社が正規盤の流通に苦戦している。製品を販売することができなければ、レコード会社が今後生き延びることは不可能だろう。

実はレーベルはアルバム販売の他に、リングバックトーン(RBT)販売という「副業」を持っている。このサービスの利用者は爆発的に増えている。曲がヒット中のあるバンドはRBTの販売数は1千数百万回に達することもある。こうしたポテンシャルと利益の大きさに興味を持った多くのレーベルがRBT事業に進出してきた。だが、不幸なことに、RBTビジネスが興隆を迎える中、一部の悪質なコンテントプロバイダーによる通話料金横領のスキャンダルが発覚した。結果として、RBTサービスは当面の間停止することとなった。レコード会社も否応なく再びCDアルバム販売という「本業」へ戻らざるを得なかった。

どのようにして正規品を消費者の手に渡らせるのか。様々な方法が試みられている。そのうちのひとつがフライドチキンチェーン店「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」との提携だ。KFCは2006年からCDアルバムの販売を開始。その当時はKFCが募集したインディーズバンドのアルバムを販売した。KFCは店舗でセットメニューに付属してCDを販売して、1か月間で数十万枚を売り上げた。

KFCがこれほどの枚数のCDを販売できたことは驚くことではない。店舗数は500に迫り、インドネシア全国に広がっている。また、顧客の数も多い。こうしたポテンシャルを利用すれば、KFCでのソロ歌手やバンドのCD販売はそれほど難しいことではない。

KFCでのアルバム販売の効率の良さは多くのレコード会社からの注目を集めた。実はKFCは過去に自店舗でのアルバム販売を複数のレーベルに打診していたのだが、そのアイデアは逆に音楽産業から笑いものにされていた。

実際には、KFCとレーベルの提携は素晴らしい成果を生み出した。レーベル「Keci Music」がKFCと組んでインダ・デウィ・プルティウィ(Indah Dewi Pertiwi)のアルバム「Hipnotis」を販売した結果、売り上げはすぐさま2百万枚を突破した。同様に、レーベル「Aquarius」がKFCと提携してアグネス・モニカ(Agnes Monica)のベストアルバムアを販売した結果、150万枚を超える大ヒットを記録した。

こうした事例から、多くのレーベルが軒を連ねてアルバム販売におけるKFCとの協力を打診している。現在、スランク(Slank)やノア(Noah)といった大御所バンドもKFCを通じてアルバムを販売している。ノアが2012年に発売したアルバム「Seperti Seharusnya」は現在までに100万を超えるセールスを記録している。しかし、全てのアルバムがKFCで販売できるわけではない。

「私たちはポテンシャルを持ったミュージシャンだけを選んでいます。全てのアルバムが私たちの店舗で販売できるわけではありません」と先日、KFCインドネシアのブランド・マネージャーであるノフリザルは語っている。

興味深いことに、現在ではKFCのこうした取り組みをスーパーマーケット「Alfamart」「Indomaret」「Carrefour」といった小売業界も追随している。また、大手書店「Gramedia」もアルバム販売のコーナーを設けている。ガソリンスタンドの「Pertamina」もアルバムの販売を開始している。こうした動きを音楽業界も歓迎している。少なくとも、彼らがアルバム販売において多くの選択肢を得たことは間違いがないだろう。

この他にレーベルが取り組んでいるのはデジタルショップ「Apple iTunes Store」の利用だ。偶然にも、アップルは昨年からデジタルミュージックショップでインドネシアミュージシャンのアルバム販売を開始している。1曲の値段は5千から7千ルピア。アルバムは4万5千ルピアから6万5千ルピアで販売されている。

インドネシアにおけるiTunes Storeは遅れて開始されたと言える。アップルはインドネシアでのショップ開設にあたって、著作権侵害や海賊版といった理由で難色を示していた。iTune Storeを通じたアルバム販売に積極的に取り組んできたレコード会社のひとつがソニー・ミュージック・インドネシアだ。

残念ながら、iTunes Storeを通じたアルバム販売はまだ普及していない。複雑な支払いシステムに加え、数々の違法ダウンロードサイトが横行しているからだ。仮に支払いシステムが簡略化され、違法音楽サイトへのアクセスがブロックされたとすれば、インドネシアの人々がこのスティーブン・ジョブスが立ち上げたデジタルショップを通じて曲を購入するという可能性も閉ざされてはいない。

アルバムの消費者への直接販売もレーベルが取り組んでいる方法のひとつだ。これはJKT48が所属するレーベル「Hits Records」によって行われている。「Hits Records」はJKT48運営と提携し、アルバムやシングルを直接ファンに販売するというCDの直接販売をこれまでに数多く実施している。CDの直接販売時にはJKT48はインドネシアの各地を訪問している。

JKT48のCDは彼女たちの専用劇場でも販売されている。ファンがJKT48のアルバムやシングルを購入する場合、ジャカルタのFXモールにあるJKT48劇場に出向けばいい。熱狂的なファンの存在がJKT48のアルバム販売を容易なものにしている。

興味深いことに、JKT48のアルバム及びシングルCD販売は「www.nadatop.com」「www.rakuten.co.id」といったネットショッピングサイトでも行われている。こうしたさまざまなCD販売方法の出現によって、インドネシア音楽界に再び活気がよみがえることを願っている。

2013年11月9日「Tabloid Bintang」
Berbagai Cara Menjual Album Rekaman Kini