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ホンダの新型LCGC発表でイメージキャラクターを務めるJKT48

2014年4月2日付『日経新聞』にインドネシア現地紙の記事訳が掲載。もととなった3月29日付『コンパス』紙の「低価格エコカー」政策に関する記事を訳してみました。 

きしむ「低価格エコカー」
インドネシア政府内対立
KOMPAS コンパス(インドネシア)

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インドネシア政府が昨年導入した「低価格エコカー(LCGC)」優遇策を巡り、エネルギー・財務当局から風当たりが強まっている。自動車産業の振興を急ぐヒダヤット産業省に対し、燃料補助金の増加を嫌うバスリ財務省が3月、優遇策のガソリン消費への効果を問う書簡を送った。

この政策は部品の現地調達率や価格、燃費性能などで一定の条件を満たす車に対し「ぜいたく税」を免除するもの。補助金で売価が安く固定されたレギュラーガソリンでなく、補助金なしのハイオクガソリンを使う仕様とされている。

財務省は優遇策が政府予算を圧迫してはいないとの確証を要求。市場では大半のLCGCが補助金ガソリンを使っているとみられるためで、バスリ財務省は「産業省の勧告や改善策を待っている」という。

一方のヒダヤット産業省は「LCGCは新車市場の10%にも満たない」と指摘。「燃料補助金に与える影響は取るに足らない」と反論する。産業省のダルマディ高度技術産業局長も「高い燃費性能を持つLCGCにより(長期的に)燃料を節約できる」とつけくわえる。

LCGCの燃料制限が難しい背景には、政府側の不備もある。国立ブラウィジャヤ大学のユスティカ教授は「」監視システムについて明記もせず、LCGC利用者がハイオクガソリンを使うわけがない」と主張。政府が自動車産業界のロビー活動になびいて優遇策を設けた側面も否定はできず「エネルギー・財務当局との摩擦は当然」と断じる。

解決策は、政府にとっての本来の課題である燃料補助金の制度改革だ。LGCGか否かにかかわらず、車種ごとの燃料制限を拡大することも一案。これは優遇策を定める前の2012年にも議論されたことだ。(3月29日付)

(4月2日付日本経済新聞9面)

↓3月29日付けコンパス紙より
財務相、産業相(の対応)を待つ
政府、LCGCへの対応策はなし

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ジャカルタ、コンパス-「低価格エコカー(LCGC: Low Cost Green Car)」政策によって、今後エネルギー・財務当局からの圧力が高まることが確実視されるが、政府は具体的な対応策を打ち出せずにいる。財務省は財政の観点から現在も産業省の報告を待っている。

M・ハティブ・バスリ財務相は3月28日金曜日ジャカルタで、自身が先週送付した書簡に関する産業省からの回答を待っているとショートメッセージサービスを通じて明らかにした。この書簡ではLCGC政策の実施報告を求めている。

財務省は同政策による燃料補助金支出の増加が国家歳入歳出予算を圧迫していないという確証を求めている。LCGCは補助金なしの燃料を使うことが想定されているが、現実にはその逆となっている。「産業省からの勧告を待っているところです。技術的な責任者である彼らが解決策を提示してくれるはずです。私たちは待つだけです」とハティブは語った。

MS・ヒダヤット産業相は金曜夜、取材に応じ、LCGCは現在、年間自動車生産の10パーセントにも満たないと話した。

同相はLCGCの生産台数は2014年3月末まででおよそ8万台と予測する。この数字は120万台を記録した2013年の全自動車生産台数の6パーセントにあたる。

加えて、現在のインドネシアの生産台数はおよそ100万台であり、LCGCはそのわずか8パーセントに過ぎないとしている。「したがって、数の面から見れば、LCGCの燃料消費によって補助金負担が劇的に増加するということはありません」とヒダヤットは語った。

産業省のブディ・ダルマディ高度技術産業局長は、LCGCは燃費が非常によく、多くの燃料を節約できると話す。

LCGC使用者が補助金なし燃料を使用するための取り組みに関して、ブディは、同車両のマニュアルには現在のインドネシアで補助金なし燃料に相当するRON92ガソリンを入れるよう設計されているとの記述があると語った。

国立ブラウィジャヤ大学経済ビジネス学部のアフマッド・エラニ・ユスティカ教授はマランで取材に応じ、LCGC政策にはすでに多くの批判が集まっているとの見解を述べた。

エラニによると、LCGCが補助金なし燃料(BBM nonsubsidi)を使うことは全く期待できないとし、その理由として、同政策では補助金付き燃料使用の禁止および監視システムに関して言及されていない点を挙げた。

同政策成立の背景にはロビー活動があるとエラニは指摘する。「ロビー活動を回避することは難しいです。こうした側面が政策決定の判断材料のひとつとなったと私は見ています。証明は困難ですが、その可能性が濃厚です」とエラニは語った。

政策はすでに施行されている。エラニは、エネルギー・財務当局から圧力は疑いようがなく、政府は具体的な対応策を講じなければならないと述べている。

解決策には、燃料補助金の制度改革などが挙げられる。一案として、特定の自動車仕様に基づいた補助金付き燃料の使用者制限拡大や補助金の維持などがある。 これら2案は2012年に政府内で検討されていた。

インドネシア汚職監視機関(ICW: Indonesia Corruption Watch)政治汚職部門のアブドゥラ・ダフランは、LCGC政策はエネルギーセクター政策と矛盾すると同時に、財政を圧迫していると表明した。

「同政策は政府が定めた大規模政策に寄与していません。総選挙の年に撤回しようとしても、中央や地方を問わず、こうした奇妙な政策がたびたび出されます。多くの政策が政治やビジネスにおける取引の機会となっているのです」と同氏は語った。

2014年3月29日付『コンパス』紙18面

【管理人コメント】
当ブログ常連の「のんき」さんからメッセージを頂いて今回の記事を知りました。ありがとうございます。普段は日経新聞など全く読まないのですが、こういう記事はありがたいですね。現地記事の翻訳という意味で色々と勉強になりました。当然といえば当然のことですが、一般紙に掲載する場合、日本の読者向けにはやはり、例えば以下のような本文にはない文章(要するに「訳注」)を補足する必要があるようです... 

「この政策は部品の現地調達率や価格、燃費性能などで一定の条件を満たす車に対し「ぜいたく税」を免除するもの。補助金で売価が安く固定されたレギュラーガソリンでなく、補助金なしのハイオクガソリンを使う仕様とされている」(日経新聞)

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