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2014年4月23日付コンパス紙社説「中国による日本貨物船の差し押さえ(Tiongkok Sita Kapal Barang Jepang)」の翻訳です。中国当局による商船三井船舶の差し押さえを論じています。また、今回の記事以外にも、ここ半年で掲載された同紙社説(日本・東アジア関連)を訳していますので、関心がある方は下記の【関連記事】を参照して下さい(コンパス紙に関する若干の説明もあります)。

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社説:中国による日本貨物船の差し押さえ
コンパス(2014年4月23日)

中国による、日本企業「商船三井」所有の大型貨物船「Baosteel Emotion(バオスティール・エモーション)」の差し押さえは日本の反発を招いた。

この差し押さえには当然のことながら、昨今の日中関係を緊迫させている領土紛争との関係はない。しかし、日本政府は、過去の債権債務に関連した今回の船舶差し押さえは両国関係の悪化を招くと言明した。

中国の上海海事法院(裁判所)は、およそ80年前の契約との関連から、商船三井に対して総額2千8百万ドルの支払いを命じた。1936年、日本企業「大道海運(商船三井の前身)」は中国企業「中威輪船公司」から船舶2隻を借り出した。その後、2隻は第二次世界大戦時に日本海軍が使用したが、戦闘で沈没している。

中威輪船公司は過去に商船三井に対する損害賠償請求を中国裁判所に起こしている。裁判所は2007年、商船三井に対して総額2千8百万ドルの支払いを命じた。商船三井はこの決定を不服とし、上訴した。商船三井は、船舶は日本軍に徴用されおり、必ずしも同社が損害賠償の支払いを求められるものではないと主張したが、中国最高裁は2010年12月にこの訴えを棄却している。

日本の菅義偉官房長官は会見で、こうした中国側の対応は1972年に調印された日中共同声明の趣旨に反すると述べた。同声明には、中国は日本に対する戦時賠償請求を放棄すると記されている。

菅氏は、問題の解決に向けて中国政府がしかるべき措置をとることが望まれるとした。今回の差し押さえの他にも、中国に進出する日本企業に対して、戦時中の強制連行に関連した損害賠償請求が数多く起こされている。これら訴訟で中国裁判所が差し押さえを認めたのは今回が初となる。

懸念されるのは、今回の差し押さえや同様の事例によって、東シナ海の領土紛争を理由に現在も緊迫する日中間の良好な関係が損なわれることだ。

私たちは両国政府首脳の自制を強く望む。日本は第2次世界大戦敗の敗戦に合わせて長らく穏健な(low profile)な外交政策をとってきた。しかし、安倍首相がその後、再び同国の自信を取り戻すべく動いている点を踏まえれば、中国政府の外交政策に見られる攻撃的な姿勢は非常に危険なものとなり得るからだ。

Kompas, Rabu, 23 April 2014 
Tajuk Rencana: Tiongkok Sita Kapal Barang Jepang

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このブログではこれから(主に日本・東アジアに関する)コンパス紙社説の翻訳を予定しています。これは同紙の意見が「正しい」と考えているからではなく、インドネシアを代表するメディアが日本(及び東アジア)に対してどのような論調であるかを「紹介する」ためのものです。「紹介」が主目的ではありますが、個々の記事に対する冷静な批判は当然あってしかるべきですので、インドネシアの新聞社による論説であるという点を踏まえた上で、皆さんからの忌憚のないコメントをお待ちしています。

また、これまでにコンパスの社説やコラムを翻訳した際に、同紙の「スタンス」に関するコメントが相当数寄せられていますが、新聞社の立場や主義・主張はひとつふたつの論説のみから判断できるものではありません。この点に関しては、これからある程度まとまった形でコンパス紙の社説を紹介する中で、皆さん自身に-できれば全ての社説訳を読んだ上で-判断して頂ければと思います。

コンパスの社説に関しては、インドネシアのネット掲示板紹介と合わせて、少しずつ訳出していければと考えていますので、気長にお付き合いいただければ幸いです(訳文に関して不明な点があれば、コメント欄を含めた下記の宛先までご連絡ください。早急に対処いたします)。

なお、コンパス以外にも日本に関する論説がインドネシアのメディアに掲載されれば、当然できる範囲で紹介するつもりです。情報提供は常時大歓迎ですので、関連する情報をお持ちの方はよろしければ下記の宛先までご連絡ください。コメント欄でも構いませんが、返信を希望される方はツイッターまでお願いします。 


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