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写真:フィリピンのアキノ大統領

2013年8月31日付けコンパス紙社説「中国に面子をつぶされたフィリピン( Filipina Merasa Dipermalukan China)」の翻訳です。中国による「中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)博覧会」のアキノ大統領訪中拒否問題を論じています。

社説:中国に面子をつぶされたフィリピン
コンパス紙(2013年8月31日)

来週に予定されていたフィリピンのアキノ大統領の訪中を中国側が拒否するという事態に驚きが広がっている。

今回のフィリピン大統領訪中拒否問題は外交関係、特にアジアの文化的文脈における深刻かつ異例な事態として大きな注目を集めた。フィリピンの現地メディアはこの件を侮辱として報道し、少なからぬフィリピン国民が自国大統領に対する不愉快な対応に面子をつぶされたと感じている。

アキノ大統領は当初、9月3日に中国・南寧で開催される「中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)博覧会」に出席する意向を示していた。この行事は中国とASEAN10カ国の密接な関係を示すために毎年開催されている。

このため、フィリピン大統領の訪中を中国側が拒否したことで、フィリピンのみならず、ASEAN全加盟国にも驚きが広がった。中国はアキノ大統領の招待を取りやめたと説明するのみで、これは誰の目にも納得がいかない内容だった。

専門家によれば、中国によるフィリピン大統領の訪中拒否は南シナ海の領土紛争に関連したものであるという。この仮定が正しいとすれば、今回の訪中拒否は単に南シナ海の領土紛争、とりわけ両国が領有権を主張する南沙および西沙諸島の問題をさらに緊迫化させたに過ぎない。

予定されていたアキノ大統領の訪中は中国との紛争問題を平和的に解決するための機会となるはずだった。しかし、中国は反発をあらわにした。これはフィリピンが今年1月に両国間の紛争問題を国連海洋法条約に基づき仲裁裁判所に提訴したためだ。

フィリピンによる仲裁裁判所への提訴は中国の反発を招いた。中国はかねてから2国間協議による紛争の解決を提案していたが、具体的な進展はいまだ見られていない。この提案に対する疑念も強まっている。中国が進める南シナ海における軍事力展開が紛争当事国への威嚇行為であると捉えられているためだ。

西沙および南沙諸島における紛争は中国、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾各国が領有権を主張する非常に複雑な問題である。この紛争におけるセンシティビティが高まる背景には、中国がますます攻撃的に自国の力を誇示する一方で、他の紛争当事国も一歩も引く姿勢を見せないという状況がある。

すでにその兆候が見られているように、南シナ海における対立を早急に解決できなければ、この問題は武力紛争に発展しかねない。アメリカはアジア太平洋地域における軍事的優位を中国に奪われることを望んでおらず、こうした第三勢力が介入した場合、問題はなお一層 複雑なものとなるだろう。

Kompas, 31 Agustus 2013
Tajuk Rencana: Filipina Merasa Dipermalukan China

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インドネシア「コンパス」紙社説 日本語訳まとめ 
(↑コンパス紙については上記まとめを参照して下さい↑)
【中比関係】「フィリピンに求められる新たな対応」-コンパス紙社説(2013年9月4日)

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