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 2013年10月3日付けコンパス紙社説「朝鮮半島統一はいまだ遠く(Penyatuan Dua Korea Masih Jauh)」の翻訳です。韓国「国軍の日」にソウルで開催された軍事パレードを念頭に、朝鮮半島の統一問題を論じています。


社説:朝鮮半島統一はいまだ遠く
コンパス(2013年10月3日)

10月1日火曜日、韓国は軍創設65周年を記念する軍事パレードを開催した。

ソウルでは火曜昼から夕方にかけて、数千人がこのパレードを一目見ようと市庁舎、駅、崇礼門(スンネムン)を通過する大通り沿いに集まった。およそ100台の戦車と4500人の兵士たちがパレードに参加した。

韓国軍はパレードで複数の戦車や大砲も披露している。この日午前には、京畿道・城南市の空軍基地で記念式典が盛大に開催され、朴槿恵大統領、金寛鎮国防相、アメリカのチャック・ヘーゲル国防長官らが参列した。

この韓国の軍事パレードは北朝鮮に対する軍事力の誇示と見ることもできる。韓国は同パレードで北朝鮮の主要施設を攻撃できる射程300キロの弾道ミサイル「玄武(ヒョンム)2」や射程1500キロの地対地巡航ミサイル「玄武3」などの最新兵器を公開している。

この韓国の軍事パレードを見る時、世界の人々が想起するものは、同じ朝鮮半島に暮らす民族が今も韓国と北朝鮮という2つの国に分断されているという事実だろう。そして、同時に思い起こされるのは、1990年の東西ドイツ統一にともなうベルリンの壁崩壊である。

米ソおよび米中間の冷戦終結に合わせて、朝鮮半島も統一されると考えた者は多い。しかし、朝鮮半島はドイツは違っていた。冷戦の終結は朝鮮半島、とりわけ北朝鮮に対して如何なる影響も与えなかった。結果として、朝鮮半島の統一はいまだ遠いという認識が広まった。

高麗大学のパク・テウ(Park Tae-woo)教授(国際政治研究)は、朝鮮半島の統一は容易ではないと話す。韓国政府は東西ドイツの統一に学び、3つの前提条件を用意しなければならない。最も重要とされるのが統一の必要性に関する意見の一致であり、それは特に韓国国民の間に求められる。現在、ある調査によれば、韓国における朝鮮半島統一支持は63パーセントにすぎないという。

北朝鮮の指導者も現在に至るまで、韓国との統一に踏み出す気配はない。また、北朝鮮は韓国に対して敵対する姿勢を繰り返し見せてもいる。こうした現状を踏まえれば、同じ民族が異なる国で別れたまま暮らす状況は今後も長らく続いていくだろう。

Kompas, Kamis, 3 Oktober 2013
Tajuk Rencana: Penyatuan Dua Korea Masih Jauh

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