2013年10月14日付けコンパス紙社説「韓国大統領訪問の意味(Makna Lawatan Presiden Korsel)」の翻訳です。両国の国交樹立40周年に合わせた朴槿恵大統領のインドネシア訪問を念頭に、朴正煕元大統領およびクリーンな政治の在り方について論じています。
社説:韓国大統領訪問の意味
コンパス(2013年10月14日)
先週に行われた朴槿恵(パク・クネ)大統領のジャカルタ訪問において、インドネシアと韓国の関係強化の取り組みが明らかになった。
朴大統領は両国の国交樹立40周年に伴い、先週の木曜日から土曜日にかけてインドネシアを訪問した。両国のこれまでの交流が、将来に向けた協力の強固な基盤となる事を期待してのものだ。朴大統領はジャカルタ訪問中にインドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と会談し、朝鮮半島情勢などについて協議した。
今年2月に大統領に就任した朴氏は会談で、北朝鮮の核開発計画という現実的な脅威について言及し、朝鮮半島紛争の平和的解決に向けてインドネシアが関心を示している事に謝意を表明した。朴大統領はまた、ユドヨノ大統領および政府閣僚らと両国の発展および より強固な協力関係の推進について意見を交わした。
これまでに何度も論じられてきたことだが、1960年代、韓国の発展段階はインドネシアとほぼ同水準にあった。しかし、それから数十年後、天然資源の乏しい韓国が飛躍的な成長を遂げ、インドネシアをはるか後方に置き去りにした。
先週の朴大統領のインドネシア訪問によって、1963年から1979年まで韓国を率いてきた 朴大統領の父である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領との関係も浮かび上がった。独裁的と言われる同政権に対する批判とは別に、韓国の飛躍的な発展の背景には朴正煕大統領の指導力が貢献したとされる。
朴正煕元大統領は「enlightened despot」、賢明な独裁者と評される。これは同氏が強権的だが清廉潔白かつ効率的な政権運営を行なったためだ。強権的な政権運営を行なう国家指導者はこれまでに数多く存在したが、いずれも清廉潔白とは言えず、汚職にまみれてた。他に「enlightened despot」と呼ばれる指導者には1932年から1975年までスペイン首相を務めたフランシスコ・フランコがいる。フランコ元首相は強権的かつ独裁的な支配を行なったが、その清廉潔白さと汚職の無さは賞賛されている。
汚職の問題はインドネシアを含めた各国指導者にとって最も困難な課題といえる。汚職行為はインドネシアの中央から地方に至るまで、あらゆる権力層に蔓延している。世界中の数多くの国々が汚職を理由に崩壊し、発展できずにいる。この意味で清廉潔白な政治を行なった朴正煕大統領やフランシスコ・フランコ元首相に再び目を向けることは、もちろん彼らに対する厳しい批判を抜きにはできないが、道理にかなっているはずだ。
清廉潔白かつ独裁的傾向の無い指導者の誕生が強く望まれる。こうした理想的な指導者像は空想上の存在ではない。なぜなら、すでに数多くの国、特にスカンジナビア諸国で実践されているからだ。
コンパス(2013年10月14日)
先週に行われた朴槿恵(パク・クネ)大統領のジャカルタ訪問において、インドネシアと韓国の関係強化の取り組みが明らかになった。
朴大統領は両国の国交樹立40周年に伴い、先週の木曜日から土曜日にかけてインドネシアを訪問した。両国のこれまでの交流が、将来に向けた協力の強固な基盤となる事を期待してのものだ。朴大統領はジャカルタ訪問中にインドネシアのスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領と会談し、朝鮮半島情勢などについて協議した。
今年2月に大統領に就任した朴氏は会談で、北朝鮮の核開発計画という現実的な脅威について言及し、朝鮮半島紛争の平和的解決に向けてインドネシアが関心を示している事に謝意を表明した。朴大統領はまた、ユドヨノ大統領および政府閣僚らと両国の発展および より強固な協力関係の推進について意見を交わした。
これまでに何度も論じられてきたことだが、1960年代、韓国の発展段階はインドネシアとほぼ同水準にあった。しかし、それから数十年後、天然資源の乏しい韓国が飛躍的な成長を遂げ、インドネシアをはるか後方に置き去りにした。
先週の朴大統領のインドネシア訪問によって、1963年から1979年まで韓国を率いてきた 朴大統領の父である朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領との関係も浮かび上がった。独裁的と言われる同政権に対する批判とは別に、韓国の飛躍的な発展の背景には朴正煕大統領の指導力が貢献したとされる。
朴正煕元大統領は「enlightened despot」、賢明な独裁者と評される。これは同氏が強権的だが清廉潔白かつ効率的な政権運営を行なったためだ。強権的な政権運営を行なう国家指導者はこれまでに数多く存在したが、いずれも清廉潔白とは言えず、汚職にまみれてた。他に「enlightened despot」と呼ばれる指導者には1932年から1975年までスペイン首相を務めたフランシスコ・フランコがいる。フランコ元首相は強権的かつ独裁的な支配を行なったが、その清廉潔白さと汚職の無さは賞賛されている。
汚職の問題はインドネシアを含めた各国指導者にとって最も困難な課題といえる。汚職行為はインドネシアの中央から地方に至るまで、あらゆる権力層に蔓延している。世界中の数多くの国々が汚職を理由に崩壊し、発展できずにいる。この意味で清廉潔白な政治を行なった朴正煕大統領やフランシスコ・フランコ元首相に再び目を向けることは、もちろん彼らに対する厳しい批判を抜きにはできないが、道理にかなっているはずだ。
清廉潔白かつ独裁的傾向の無い指導者の誕生が強く望まれる。こうした理想的な指導者像は空想上の存在ではない。なぜなら、すでに数多くの国、特にスカンジナビア諸国で実践されているからだ。
Kompas, Senin, 14 Oktober 2013
Tajuk Rencana: Makna Lawatan Presiden Korsel
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★インドネシア「コンパス」紙社説 日本語訳まとめ
★「朝鮮半島統一はいまだ遠く」-コンパス紙社説(2013年10月3日)
★「韓国フェリー事故、悲劇と皮肉」-コンパス紙社説(2014年4月21日)
★【セウォル号沈没事故】「韓国首相の辞任」-コンパス紙社説(2014年4月29日)
このブログではこれから(主に日本・東アジアに関する)コンパス紙社説の翻訳を予定しています。これは同紙の意見が「正しい」と考えているからではなく、インドネシアを代表するメディアが日本(及び東アジア)に対してどのような論調であるかを「紹介する」ためのものです。「紹介」が主目的ではありますが、個々の記事に対する冷静な批判は当然あってしかるべきですので、インドネシアの新聞社による論説であるという点を踏まえた上で、皆さんからの忌憚のないコメントをお待ちしています。★「韓国フェリー事故、悲劇と皮肉」-コンパス紙社説(2014年4月21日)
★【セウォル号沈没事故】「韓国首相の辞任」-コンパス紙社説(2014年4月29日)
※ ※ ※ ※ ※
また、これまでにコンパスの社説やコラムを翻訳した際に、同紙の「スタンス」に関するコメントが相当数寄せられていますが、新聞社の立場や主義・主張はひとつふたつの論説のみから判断できるものではありません。この点に関しては、これからある程度まとまった形でコンパス紙の社説を紹介する中で、皆さん自身に-できれば全ての社説訳を読んだ上で-判断して頂ければと思います。
コンパスの社説に関しては、インドネシアのネット掲示板紹介と合わせて、少しずつ訳出していければと考えていますので、気長にお付き合いいただければ幸いです(訳文に関して不明な点があれば、コメント欄を含めた下記の宛先までご連絡ください。早急に対処いたします)。
なお、コンパス以外にも日本に関する論説がインドネシアのメディアに掲載されれば、当然できる範囲で紹介するつもりです。情報提供は常時大歓迎ですので、情報をお持ちの方はよろしければ下記の宛先までご連絡ください。コメント欄でも構いませんが、返信を希望される方はツイッターまでお願いします。
ツイッター:@honnesia
メッセージ:http://message.blogcms.jp/livedoor/honnesia/message
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インドネシア人の本音@honnesiaインドネシア人の本音 : インドネシア「コンパス」紙社説 日本語訳まとめ http://t.co/4xunhZ8jwk
2014/04/19 19:45:15
【追記】
インドネシア人の本音@honnesia「ポスコ云々」というコメントを下さる方へ。今回のエントリーは「2013年10月14日」付け社説の翻訳です。もしかしたら日付が表示されていない可能性もありますので、念のため記しておきます。なお、最低限のマナーに欠けるコメント、禁止ワードをあえて使用したコメントは後で削除します。
2014/07/08 20:02:48
コメント
コメント一覧 (21)
現在インドネシアは東南アジアで最も有望な市場であり投資規模は日本が圧倒的。インドネシア政府は外資流出とインフラ抑制が目的。最近はポスコの重大な事故が頻発してたりその辺の注意もあったんじゃないか?インドネシア政府も技術欲しさに規制かけまくって日本などから文句言われているが逃げられてもこあるしまた兵器の契約でもしたんかね?
つまり、日本にとっては投資しやすい地域だが、国の体質として、比較的どこの国にも寄っていない。内部の汚職は東南アジアでは頭の痛い問題だが、真なる国際化に向けて頑張ってほしい。
強いて言うなら韓国がきていることでまた、告げ口外交をしなければいいが。
コンパス紙大丈夫か?
>これは同氏が強権的だが清廉潔白かつ効率的な政権運営を行なったためだ。
汚職が無くても、政敵や民主化運動を弾圧したのが賢明で清廉潔白だって?
戦後韓国が発展したのは、日本やアメリカからの資金・技術供与があったからに他ならない。
尼韓関係の記事であって、韓国単体の話題じゃないぞなもし
途上国の政治家や官僚の汚職話をきくと日本の無駄飯公務員が神様に見えてくるんだよな
アー イカンイカン
>これは同氏が強権的だが清廉潔白かつ効率的な政権運営を行なったためだ。
これは結果から見ればその通りだろ。
あの状況で朴正煕の強引な独裁が無ければ、北朝鮮よりひどい極貧をどうやって抜け出せたんだ。
日米からの気が遠くなるようなバックアップがあったとしても、誰かの懐に入って消滅するのが関の山でしょ。
あーそれは前から気になってたね
オーストラリアーインドネシア関係と周辺国への影響は東南アジアではかなり重要な事柄だと思う
ただオーストラリア首相との会談が韓国への牽制とか笑っちゃうからやめてw
日本にとってはオーストラリアもインドネシアも重要だし韓国ごときのためにインドネシアに敵対的な行動は取るわけないから
韓国中心の世界観を直したほうがいいねw
単にこれから日本オーストラリア間が緊密化していくだけだよ。TPPやEPAや集団的自衛権容認などをふまえてね
あとオーストラリアを取り込んだってのもおかしいわww
取り込めるわけないです。あっちはアングロサクソンの資源国なのに
今の大統領と次の大統領に対して汚職なんとかしろよってメッセージだと感じた。
ここに来るぐらいなのだから、中韓があーだこーだよりももっとインドネシアに興味持てばいいのにね。本日9日は大統領選挙の日、拮抗しているそうなので、どうなるかなー
日本は韓国と付き合わなくても
不備ばことは一つも無い
アメリカから文句を言われるから
イヤイヤつき合わされているだけ
だから韓国がどう動こうと何の関係も無い
「 今回の朴槿恵(パク・クネ)大統領のインドネシア訪問は、この40年間に両国が築いてきた信頼と友情を基盤に経済協力の新しい地平を開いた。最も大きな成果は、両国間の包括的経済パートナー協定(CEPA)を年内に妥結するという点だ。」(2013/10/18 中央日報 尹相直 産業通商資源部長官 寄稿文)
コンパス紙のこの社説にはその言及がない。2014/6/14ジャカルタポストは「インドネシアと韓国、包括的経済連携協定(CEPA)締結、二年間に渡る交渉の結果、合意に至らず!」と報じている。年内合意出来ず翌年交渉は決裂した。成果がなかったから、昔話を書いたのであろう。
だから強権的だが、という枕詞がついているのだ
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