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2014年2月10日付けコンパス紙社説「アジアの二勢力に接近するロシア(Rusia Dekati Dua Kekuatan Asia)」 の翻訳です。ソチオリンピックに合わせて開催された中露および日露首脳会談を念頭に、ロシアの外交政策について論じています。

社説:アジアの二勢力に接近するロシア
コンパス(2014年2月10日)

ロシア・ソチ冬季オリンピック開会式を目前に控えた2月6日木曜日、中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領による首脳会談が開催された。

黒海沿岸のリゾート都市ソチで開催された両国の首脳会談を振り返ると興味深い視点が得られる。第1に、この会談の狙いは国連安全保障理事会のシリア問題で歩調を合わせる中国とロシアの関係強化にあるのかという疑問が沸く。

第2に、両首脳による会談が、東シナ海の尖閣諸島(中国側呼称:釣魚諸島)問題をきっかけに中国と日本の関係が緊張する中で行なわれたからだ。

言い換えれば、この会談にはロシアをアジアに引き寄せようとする中国側の意図が透けて見える。同盟国アメリカの後ろ盾を得る日本に対抗するためであるという印象が否めないためだ。ましてや、プーチン大統領も同会談で過去における日本の軍国主義を忘れてはならないと表明している。日本の軍国主義は確かに恐ろしいものだった。ロシアが(1904-1905年に)満州で日本に敗北を喫した事は今も忘れてはいない。そして、日本は真珠湾のアメリカ海軍基地を攻め、太平洋戦争の口火を切った。東アジアおよび東南アジアのほぼ全域を占領した後、1945年に日本は連合国に降伏した。

今回の中露首脳会談によって、アジア太平洋地域における、中露対日米という新たなパワーバランスが生じるとの予測も見られたが、実際には事態がそのように進展することはなかった。プーチン大統領は日本軍国主義の過去は決して忘れ去られることはないと表明したが、これは日本と敵対する姿勢を示すものではない。日本を含めたどの国であっても日本の軍国主義を忘れることは許されないと強調したに過ぎないからだ。

したがって、2日後に行なわれた安倍信三首相との首脳会談で、プーチン大統領が年末には日本を訪問すると述べたことに驚きはない。両首脳はまた、すでに70年が経過したクリル諸島問題を再び協議することで合意している。

ソチオリンピックの合間に行われたプーチン大統領と、習近平国家主席および安倍首相の首脳会談は非常に興味深いものだった。イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの各国首脳によるソチオリンピック開会式の欠席が、ロシアをアジアの2国へ接近させた。

広大な国土を有するロシアは2つの足を持つ。1つはヨーロッパに、もうひとつはアジアへ。今、ロシアはアジアへの歩み寄りを強めている。

Kompas, Senin,10 Februari 2014
Tajuk Rencana: Rusia Dekati Dua Kekuatan Asia

参考:
ロシア大統領、5月訪中へ 中ロ首脳会談で合意 
日経新聞(2014年2月7日)

【ソチ=田中孝幸】ロシアのプーチン大統領は6日、冬季五輪の開会式出席のためにソチを訪れた中国の習近平国家主席と会談した。中ロの関係強化に向けて年内に首脳会談を5回開き、このうちプーチン大統領が2回にわたって訪中することで合意した。

ペスコフ大統領報道官によると大統領は5月に習主席がかつてトップを務めた上海市を訪れる予定で、会談では「我々は親しい友人だ」と強調。中ロの密接な関係を印象づけた。大統領は日本には訪問の意向を示しているが、時期はまだ明らかにしていない。

両首脳は価格交渉の難航で8年にわたって宙に浮いているロシア産天然ガスの対中輸出問題に関し、5月までに解決への道筋をつけることで一致。極東や東シベリア、北極圏の石油開発での協力推進も申し合わせた。

一方、新華社通信は「プーチン大統領が『日本の軍国主義が中国などアジアの人々に対して犯した重大な犯罪行為を忘れてはならない』と述べた」と報道。ただ、ロシア側はこの発言を発表しておらず、日本側に配慮したとみられている。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0701A_X00C14A2EB1000/

【関連記事】 
インドネシア「コンパス」紙社説 日本語訳まとめ 
(↑コンパス紙については上記まとめを参照して下さい↑)

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