President-Benigno-Aquino-III
フィリピンのベニグノ・アキノ大統領

2013年9月4日付けコンパス紙社説「フィリピンに求められる新たな取り組み(Filipina Perlu Cari Pendekatan Baru)」の翻訳です。 南シナ海におけるフィリピンと中国の領土問題に関して、フィリピン側に対応の変化を促す提言を行なっています。

社説:フィリピンに求められる新たな対応
コンパス(2013年9月4日)

フィリピンのベニグノ・アキノ3世大統領は先週、中国・南寧で開催される「中国・東南アジア諸国連合(ASEAN)博覧会」への出席を取りやめた。

アキノ大統領がこの決断を強いられたのは、フィリピンが南シナ海の領土問題に関する提訴を撤回した場合を除いて、中国政府が同大統領へのビザ発給を拒否したためだ。これは憂慮すべき事態であり、早急に解決できなければ、フィリピンと中国の関係悪化が懸念される。

私たちはフィリピンが貿易産業大臣率いる代表団を中国に派遣する意向を示している事を評価したい。なぜなら、今回の博覧会が中国およびアセアン10か国の関係強化を目的としている点を考慮すれば、フィリピンから全く代表団が派遣されない場合、状況はさらに厄介なものとなるからだ。フィリピンは今年、同博覧会の「ゲスト国」となっている。

アキノ大統領へのビザ発給拒否に関して、中国高官は、大統領の訪中によって自国メディアや国民からの反発を懸念していると語った。中国は今年1月、フィリピンが両国間の領土紛争を国連の調停裁判所へ提訴した事を受け、「非友好的行動」と指摘している。

中国は南シナ海における領土紛争に関して、フィリピンとの2国間協議での解決を求めている。フィリピンは逆に、この問題を国際的な機関へ提訴することが妥当であると考えている。

中国は大国として、紛争当事国との対立を2国間協議で解決しようとする傾向にある。これは紛争解決において中国側が第3者の介入を必要としていないためだ。フィリピンは中国と比較すれば小国であり、対応には違いがみられる。2国間で話し合うのみでは、フィリピンが中国のような大国の「圧力」に対処することは容易ではない。問題を第3者たる国連の仲裁裁判所へ委ねるのも当然である。

中国はフィリピンの対応に対してあからさまに不快感を表明している。このため、南シナ海における領土問題の解決を真剣に求めるのであれば、フィリピンは新たなアプローチを模索する必要がある。中国側に判決に従う姿勢は見られず、仲裁裁判所への提訴にあまり効果は期待できないためだ。

南シナ海における領土紛争の解決を求めるのであれば、中国を巻き込んだ形で行わなければならない。フィリピンはこの点を十分に理解する必要がある。

Kompas, Rabu, 4 September 2013
Tajuk Rencana: Filipina Perlu Cari Pendekatan Baru

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