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2013年10月25日付けコンパス紙社説「インドからの朗報と悲報(Kabar Baik dan Buruk dari India)」 の翻訳です。2013年10月に中国とインドが調印した国境における軍事協力に関する合意を念頭に、中国・インド・パキスタンの国境紛争について論じています。

社説:インドからの朗報と悲報
コンパス(2013年10月25日)

インドと中国は両国国境での紛争を回避し、各種分野での協力を促進させることで合意した。

10月23日水曜日、中国・北京で、インドのマンモハン・シン首相と中国の李克強首相は9つの覚書に調印した。そのひとつが現在も紛争問題を抱える両国国境での軍事協力だ。

中国はインドが実効支配するヒマラヤ山脈東部アルナーチャル・プラデーシュ州のおよそ9万平方キロメートルにわたって領有権を主張。インドは逆に、中国によるにヒマラヤの高地アクサイ・チンの3万8千キロ平方メートルの占領に抗議している。

この国境をめぐる紛争がきっかけとなり、1962年にはインドと中国の間で短期間の衝突が発生した。今年5月にも、中国軍が境界線を超えインド側に約10キロ進入。この行動をインドが批判して以降、両国間の緊張状態が高まったが、3週間後に沈静化した。現在、インドと中国は国境地域での軍事演習に関して緊密に連絡を取り合うことで合意している。

残念ながら、このインドと中国の国境から舞い込んだ朗報は、インドとパキスタンからの朗報にはつながらなかった。インドとパキスタンの国境では再び緊張が高まっている。インド政府は水曜日、パキスタンとの国境線沿いで起こった衝突によって、インド人兵士1名の死亡と6名の負傷者が発生したと発表した。インド軍はこの事件を20年前に休戦協定が締結されて以降、最悪のものであると表明している。

この印パ国境での衝突は非常に憂慮すべき事態だ。なぜなら、これは2003年に調印された和平協定を逸脱するものだからだ。ましてや、先月にはインドのマンモハン・シン首相とパキスタンのナワーズ・シャリーフ首相が会談し、両国間の信頼関係をともに構築していくことで合意している。

今回、印パ国境で衝突が発生した原因は定かではない。インド側はパキスタン軍がまず発砲し、国境の最前線に設置されたインド側の50の監視所が標的となったと発表した。パキスタン側はこの件に関して声明を発表していない。しかし、両国はこれまでにも衝突の発生原因に関して互いに批判を繰り返しており、第三者が真相を知ることは容易ではない。

私たちが望むのは、インドが国境紛争で悪化したパキスタンとの関係を改善するためにも、同様の問題を抱える中国と良好な関係を築くことだ。いずれにしても、国境紛争は勝者と敗者のどちらにも利益をもたらすことはない。だからこそ、戦争は回避されなければならない。


Kompas, Jumat, 25 Oktober 2013
Tajuk Rencana: Kabar Baik dan Buruk dari India

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