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2014年7月4日付けコンパス紙社説「日本の新たな軍事政策(Kebijakan Militer Baru Jepang)」の翻訳です。従来の憲法解釈を変更し集団的自衛権行使を容認した安倍内閣の閣議決定を念頭に、日本の安全保障政策について論じています。

社説:日本の新たな軍事政策
コンパス(2014年7月4日)

安倍晋三首相による日本の軍事力増強へ向けた取り組みが次第に現実味を帯びてきた。

7月1日火曜日、安倍政権はこれまで自衛隊の役割と行動範囲を制限していた日本国憲法第9条の解釈変更を容認した。

憲法9条の解釈変更で集団的自衛権に関する新たな軍事ドクトリンが示された。これにより、自衛隊は日本国民の利益と安全が脅かされると判断した場合、同盟国の援護という範囲内で日本国外の戦闘地への出動が可能となった。

こうした日本の軍事的役割の変更は当然ながら自衛隊のありようにも変化をもたらす。今回の決定に対する中国の激しい反発は、自衛隊が今後、太平洋戦争(1941-1954年)時の日本の軍国主義を再び繰り返すのではないかという懸念によるものだ。

現実的に考えれば、日本が軍事力の増強を望むのは当然だろう。日本には主権国家として、自国領土および国民の安全を守る義務がある。また、太平洋戦争敗戦後の日本は安全保障を実質的にアメリカに依存してきた。敗戦国である日本には専守防衛を旨とする 役割の限定された軍隊の保有のみが許可された。他方で、アメリカは日本が他国から攻撃を受けた際の援護を目的として、複数の米軍基地を日本国内に設置している。

時代の変化に合わせて、日本では国内の米軍基地設置に対する異論が現れた。東アジア地域に目を向ければ、中国の軍事力拡大が日本に対する脅威として受け止められるようになった。日本と中国は東シナ海における尖閣諸島(中国側呼称:釣魚島)の領有権を互いに主張している。ましてや、北朝鮮の核兵器保有は言うまでもない。

こうした現状すべてが軍事力増強を進める日本の追い風となり、安倍首相はその実現に向けて取り組んできた。2013年、日本の防衛費は510億ドルを記録したが、1195億ドルに達する中国の防衛費と比較すると、わずか半分に過ぎない。しかし、これは日本に関して言えば、その質が単純な量よりもはるかに重要なものと評価されているためだ。

私たちが安堵を覚えるのは、過去の日本軍国主義に対する懸念が日本に占領された国々だけではなく、数多くの日本国民の間にも広がっていることだ。日本の軍事力拡大が歴史の再現とならないよう、日本国民自身が今後も注視していくことを切に望みたい。

Kompas, Jumat, 4 Juli 2014
Tajuk Rencana: Kebijakan Militer Baru Jepang

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