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2013年10月28日昼、北京・天安門広場前で車から炎が上がっていることを伝える中国版ツイッター「微博」

2013年11月8日付けコンパス紙社説「中国における新たな抵抗(Perlawanan Baru di China)」の翻訳です。中国山西省太原市および紫禁城まで発生した事件を念頭に、新疆ウイグル問題や社会不安が広がる中国の現状について論じています。

社説:中国における新たな抵抗
コンパス(2013年11月8日)

中国山西省省都 太原市の共産党省委員会ビル前で8回にわたって発生した爆発事件には不可解な点が残る。

ましてや、1人が死亡し8人が重軽傷(重傷1人、軽傷7人)を負った今回の太原市の爆発は、5人が犠牲となった北京の事故からわずか1週間後に発生したものだ。

1週間前、北京の天安門広場、紫禁城入り口でスポーツ用多目的車(SUV)が乗り上げ、歩行者らに衝突した。車は歩行者をはねた後に炎上、運転手と同乗者の3名が死亡した。この追突事故によって、およそ40人が負傷したとされる。

中国政府、および警察当局は事件直後に、車両は中国西部新疆ウイグル自治区出身の過激派が運転していたと発表した。中国政府はウイグル族を反政府主義者と見なしているが、ウイグル族は逆に、信教の自由など自らの基本的人権を勝ち取るべく闘っている。

ある事件において疑問が生じれば、たいていは事実関係の制約もあり、直ちに陰謀説が取り沙汰される。しかし、紫禁城前および太原市の共産党省委員会ビルで発生した事件に果たして関連性はないのだろうか。これら2つの事件が象徴的な地域もしくは場所で発生している点も興味深い。

これら2つの事件は中国共産党中央委員会が開催を目前に控える式典と関連したものと見る向きもある。中国共産党中央委員会は11月9日から第3回全体会議の開催を予定している。この会議が重要なものとされるのは、今後の10年の中国経済の方針が定められると予想されるためだ。

紫禁城と太原市で発生した事件は中国共産党第3回全体会議と関連があるのだろうか。もちろん中国政府は強い口調で関連性を否定している。これら2つの事件は過激派もしくはテロリストが行なったものである、と。しかし、それ以前に発生した事件に目を向けてみれば、爆発や紫禁城前での行為をただちにテロ事件として分類することはできないだろう。それらの行為は政府に対する不満の現れと考えることもできるためだ。

2011年には江西省撫州市の政府施設で3回の爆発事件が発生した。この爆発で2人が死亡、3名が負傷した。死亡した実行犯は、高速道路建設に伴う自宅移転の補償額の低さに不満を抱いていた。最近発生した2つの事件に関しても、社会的不平等、高騰する住宅価格、蔓延する汚職などに対する不満の現れであるとの見方も根強い。経済開発によって、富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなったように感じられる。これこそが中国の新たな課題だろう。

Kompas, Jumat, 8 November 2013
Tajuk Rencana: Perlawanan Baru di China

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