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2014年8月8日付けコンパス紙社説「安倍首相の演説に言及する中国(Tiongkok Tanggapi Pidato PM Abe)」の翻訳です。中国船による日本領海侵入を念頭に、尖閣諸島をめぐる日中間の対立および日本の軍備増強などを論じています。

社説:安倍首相の演説に言及する中国
コンパス(2014年8月8日金曜日)

中国の沿岸警備艇数隻が、東シナ海で日本が支配する尖閣諸島へ接近した。

中国船が8月6日水曜日、日中が領有権を主張する尖閣諸島(中国側呼称:釣魚島)近海に姿を見せた。これは日本の安倍晋三首相が前日に行なった中国を脅威とみなす発言に対抗したものだ。

先立って火曜日に東京で行われた閣議において、安倍首相は日本の防衛白書を引用し、日本を取り巻く安全保障環境は中国との関係悪化や北朝鮮問題によってさらに厳しさを増していると述べた。

安倍首相は、東シナ海で日中両国が領有権を主張する諸島上空に中国が設定した防空識別圏(ADIZ)に触れ、非常に憂慮すべき行為であり、望まれぬ帰結を招く恐れがあると述べた。

安倍首相の閣議での発言に対する中国の対抗措置は、尖閣諸島周辺海域が今後も日中両国にとって紛争地域(ホットスポット)となることを示している。ましてや、安倍首相によれば、中国の船や航空機がこれまでに日本領域へ繰り返し侵入しているという。

中国との関係悪化と北朝鮮問題によって、日本では自国領土の安全をより制約のない形で守るために、憲法改正を求める動きが強まった。こうした動きは、太平洋戦争(1941-1945)敗戦後に制定された日本の憲法で自国の防衛をのぞく戦力の保有が禁止された点を念頭に置いたものだ。また、日本周辺の安全保障は同国内に軍事基地を持つアメリカに委ねられている。

その結果、日本の軍事力は日本を取り巻く安全保障環境の変化に対応するには不十分であるとの見方が生まれた。ましてや、日本では在日米軍基地の撤退を求める声が日増しに高まっている。日本の軍事力増強は現段階ではまだ実行に移されていない。

安倍首相は日本の安全保障環境の変化に合わせた強力な軍隊の保有を望んでいる。しかし、安倍首相は日本の軍隊が海外で戦争を行なうことはないと強調するが、日本が再び軍国主義の色濃い国になるとの懸念も存在しており、その望みは未だ合意に至っていない。

私たちは中国が自制し、日本に対する度重なる挑発行為をやめることを望む。さもなければ、日本の軍事力増強の望みは最終的に合意に至るからだ。こうした事態が発生すれば、現在すでに緊張状態にある東シナ海を取り巻く情勢はさらに悪化するだろう。

Kompas, Jumat, 8 Agustus 2014
Tajuk Rencana: Tiongkok Tanggapi Pidato PM Abe

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