min

2014年7月末から8月上旬にかけて発覚した富士山での落書き事件。 犯人はまだ確定してませんが、インドネシアに関する落書きが複数見つかったこの事件は現地ではどのように報道されているのでしょうか。インドネシア大手紙「コンパス」の紙面に掲載された関連記事をご紹介します。

公共物汚損:富士山で「Indonesia」の落書き
コンパス(2014年8月10日)

1
日本の富士山で見つかった「Cla-X」と「Indonesia」という落書き行為を報じたビデオ。この公共物汚損を収めたビデオはユーチューブに投稿され、8月9日土曜日現在も閲覧が可能となっている。

★ ★ ★

日本の富士山の岩に赤いスプレーで書かれた「Cla-X」「Indonesia」「Rudal」の文字は、各種メディア、特にソーシャル・メディア上を賑わせた。日本国民が非常に敬意を払う山での公共物汚損は、「日出づる国」だけではなく、同時に一部のインドネシア国民の感情をも傷つけた。

ジャワ・ガムランの演奏に長けた日本の音楽家、ノリコ・セシリア(Cecillia)・ササキは自身のフェイスブックページに「嘆かわしい」という短いコメントを添えて、今回の落書きのニュースと写真を投稿した。

インドネシア人の友人らから恥ずかしさや謝罪を伝えるコメントが寄せられると、ノリコは「『Indonesia』と書かれていましたが、犯人がインドネシア人と決まった訳ではありません。(日本の)どの新聞にも犯人がインドネシア人であるとは書かれていません。今回の事件が早急に解決され、二度と繰り返されないことを願っています」とコメントした。

富士山で三カ所見つかった落書きは当然のことながらインドネシア人の行為であると確定した訳ではない。在東京インドネシア大使館社会文化および情報課職員のサウド・リンゴは、問題の所在を明らかにするために富士山コーディネーターのコサカ・イシオに連絡を取った。日本で神聖視される富士山の岩に書かれた落書きは、すでに繰り返し報道された通り、実際に存在していたという。日本では、8月8日金曜日にフジテレビと「FNN-News.com」が報じている。

しかし、コサカ・イシオによれば、現場ではインドネシア人が犯人であるとの証拠は得られていないという。「もう少し時間が必要です」と同氏は語った。

犯人は今も明らかになっていないが、現在慶応大学博士課程に在籍するマカッサルのハサヌディン大学日本文学科講師、メタ・スカル・プジ・アストゥティは仮にインドネシア人が今回の公共物汚損を行なっていたとしても驚くことではないと話す。

メタによれば、今回発見された文字は2014年7月31日、富士山を巡回中の職員が複数の登山道で発見したものだという。「現段階では犯人が誰であるかは定かではありませんが、インドネシア人が犯人ではないとして、声をあげようとしないのはあまりにも認識が甘いでしょう」とメタは語った。

昨年、メッカのアラファト、ラフマ山を訪れた際、メタはイスラム教徒が神聖視する山の岩で、アラビア語の他に、インドネシア語とマレー語で書かれた多くの落書きを見つけている。「私もインドネシアの女性が罪の意識もなしに、大きなマジックで文字を書きつける現場を目にしたことがあります。嘆かわしい事です」とメタは話した。

「Cla-X」という言葉は若者が中部ジャワのクラテン(Klaten)市を呼ぶ際によく使われる。フェイスブックには「Cla-X(クラテン)コミュニティ」も存在している。

日本の静岡に住むあるインドネシア人はラウ山山頂の写真を背景にした自身のフェイスブックページで、「Cla-X」という言葉をミドルネームに使っていた。この人物のソーシャルメディアページには富士山で撮影した自身の写真が複数枚 投稿されていた。

しかし、富士山での公共物汚損が注目を集めた件で、フェイスブックのメッセージを通じて連絡を取ってみたが、返信はなかった。程なくして、この人物のフェイスブックページのプロフィールから「Cla-X」の文字が消え、表記は「Klaten」に変更された。

フェイスブックやツイッターなどのソーシャル・メディア上でも、インドネシアの反応は2つに割れた。今回の行為を批判する内容が大半だったが、中には支持を表明する者もいた。「@dukalara」というアカウントを使用するグントゥール・ウィチャックサナはツイッターで、「クラテンの若者として、富士山のCla-X Indonesiaという落書きを誇りに思う」と記した。

社会的行動

自然景観、特に山々での公共物汚損はインドネシアではよく見られる光景だ。山頂に至るまでのほぼ全ての登山道で落書きが後を絶たない。時には石や木にナイフで傷をつけるといった公共物汚損も見られる。

それだけではなく、ごみのポイ捨てもまたインドネシアの一部登山者の悪習を映し出している。2014年6月にメラピ山に登った際、私たちは標高2500メートル地点にばら撒かれたプラスチック、ボトル、紙や使用済みの布などのゴミを一袋持って下山した。

日本で尊重される富士山で「Indonesia」「Cla-X」という落書きが見つかったことで、問題はさらに大きくなった。メタ・スカルによると、日本の天皇は毎年、海外からの重要な来賓を迎える際に、富士山の湧水を用いているという。「日本の古文書では、富士山は日本のコスモロジーにおける神のひとつとされています」とメタは、ウェスタン・ミシガン大学名誉教授(日本の宗教)バイロン・エアハートの著作を引用した。

Kompas, Minggu, 10 Agustus 2014
Coretan “Indonesia” di Gunung Fuji


公共物汚損:日本、富士山での落書きに遺憾
コンパス(2014年8月13日)

YOGYAKARTA, KOMPAS - 日本の平出亘山梨県副知事は、インドネシア人の行為が疑われる富士山での公共物汚損に遺憾の意を示した。平出副知事によれば、山梨県に位置する富士山は日本では神聖視されており、この山を訪れる者は誰であっても公共物汚損を行なうべきではないという。

この発言は8月12日火曜日、平出副知事がジョグジャカルタで、スルタン・ハメンク・ブウォノ同特別州知事と会談した際に伝えられた。今回の会談では、山梨とジョグジャカルタの間の、特に両地域とも火山を持つことから火山学分野での提携の可能性が話し合われた。

すでに報道されている通り、富士山を巡回中の職員が2014年7月31日以降に、岩に赤いスプレーで書かれた「Cla-X」「Indonesia」「Rudal」という落書きを発見した。この事件は複数の国際メディアが相次いで報道したことで取り沙汰されるようになった。見つかった文字をもとに、今回の公共物汚損はインドネシア出身者の行為であるとの疑いが持たれている。

平出副知事は、富士山での落書きはあってはならない行為だとし、「そのような行為が富士山で行われるとは全く想定外のことであり、非常に残念に思います」と語った。同副知事は、インドネシア人観光客を含めた全ての関係者が富士山の美しい自然を破壊する落書き行為を行なわないように求めた。

ましてや、富士山はすでに国連教育科学文化機関(ユネスコ)から世界遺産に認定されている。加えて、平出副知事によれば、富士山は日本人にとって神聖なものとみなされており、勝手な振る舞いは決して許されないという。

「富士山は単なる山ではなく、日本人にとっては聖なる場所と見なされています。だからこそ、全ての人々に日本人の信仰を尊重してほしいと願っています」と同副知事は語った。

しかし、平出副知事は、落書きの発見以後も富士山の警備員の増員は行なっていないと付け加えた。「私たちはインドネシアを含めて、できる限り多くの観光客の皆さんに富士山を訪れてもらいたいと思っています。同時に富士山であのような行為が2度と繰り返されないように、私たちもできる限り広報活動を行なうつもりです」と平出副知事は話した。

インドネシア環境団体NGO「Walhi」 ジョグジャカルタ支部のハリック・サンデラは登山時のマナーを理解していないインドネシア人も多いと話す。インドネシアの山々で多くの市民が公共物汚損を繰り返すのもそれが理由だという。

「登山には本来 『足跡以外は何も残さない』というマナーがあるのですが、インドネシア人の多くはこの点を理解してないようです」とはハリックは語った。

ハリックはまた、山での落書きは自然破壊であり、非常に迷惑な行為だ。今後も一般市民に向けて、登山時のマナーに関する広報活動を続けていく必要があると付け加えた。

Kompas, Rabu, 13 Agustus 2014
Vandalisme: Jepang Sayangkan Coretan di Fuji

【管理人コメント】
インドネシアのネット掲示板の反応は下記の【関連記事】にまとめてあります。今回の新聞記事の内容と比較してみて下さい。

【関連記事】
富士山登山道に「INDONESIA」の落書き-インドネシア人の反応は?