Asean-Tiongkok

2014年8月11日付けコンパス紙社説「ASEANはともに団結して中国に対処せよ(ASEAN Bersama Hadapi Tiongkok)」 の翻訳です。ミャンマーで開催されたASEAN外相会議を念頭に、中国の南シナ海における領有権主張に対してASEANとしてどのように対処していくべきかを論じています。

社説:ASEANは連携して中国に対処せよ
コンパス(2014年8月11日)

8月8日金曜日、ミャンマーの首都ネピドーで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議において、フィリピ、ベトナム、マレーシアが連携して中国に対処していくことで合意した。

前日の木曜日夜、フィリピン、マレーシア、ベトナム三カ国の外相はネピドーで非公式の会合を開き、中国に対処する上で連携を強化していくことで一致していた。

南シナ海での領有権を巡って、ASEAN三カ国が連携して中国に対処していくとの合意は歓迎すべきものである。なぜなら、ASEANは加盟国間の団結を持ってのみ、巨大な隣国である中国に対処する上で強い影響力(leverage)を持ちうるからだ。

しかし、こうした中国に対する共同歩調は当然ながら、問題の対話を通じた平和的解決を模索するための取り組みを前提とする。この認識は、ASEAN外相会議の開会式でミャンマーのテイン・セイン大統領が行なった演説と路線を同じくする。同大統領は「ASEANは、対立や意見の相違を平和的に解決する力を高めるべきだ」と強調した。

中国は南シナ海の大部分を自国領土であると主張する。その結果、中国と同様に南シナ海における領有権を主張する台湾およびASEAN四か国(ブルネイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム)との間に対立が生じた。

フィリピンとベトナムはこれまで、南シナ海における領有権問題を解決するため、中国に対して個別に対処してきた。私たちは2012年にカンボジアの首都プノンペンでの出来事を今も忘れてはいない。ASEANは当時、プノンペンで開催されたASEAN外相会議において共同声明を出せなかった。これは、フィリピンが南シナ海における中国との問題を共同声明に盛り込むよう求めたためだ。

こうした状況を2度と繰り返してはならない。ASEANは加盟国の利益を守るために一致団結すべきである。中国への対処を当事国に任せたままでは、フィリピンとベトナムはリスクの高い強引な措置を繰り返し選択することになる。例えば、フィリピンの民間船がセカンド・トーマス礁で警備を続ける自国海軍部隊に物資を運搬する際に中国の海上警備艇に阻まれ、「いたちごっこ」を余儀なくされた。また、ベトナム船が近海を巡回中の中国警備艇と衝突した事もある。

ASEANが南シナ海での領有権問題で共に連携して中国に対処することで、中国とフィリピン、そして中国とベトナムとの間で生じた軋轢が悪化することなく、武力紛争へ発展しないことを望みたい。

Kompas, Senin, 11 Agustus 2014
Tajuk Rencana: ASEAN Bersama Hadapi Tiongkok

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