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2014年11月12日付けコンパス紙社説「中日関係に改善の兆し(Hubungan Tiongkok-Jepang Membaik)」の翻訳です。 北京のAPEC会合の合間に行われた日中首脳会談を念頭に、両国関係の今後と尖閣諸島問題を論じています。

社説:中日関係に改善の兆し
コンパス(2014年11月12日)

中国と日本の首脳が正式に会談を行なった。これは両国関係が悪化して以来、およそ2年ぶりのことだ。

中国の習近平国家主席と日本の安倍晋三首相は11月10日月曜日、中国・北京で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の合間に会談した。両首脳の初となる会談はやや硬くぎこちないものだったが、十分な成果を残した。

これまで拒絶しあってきた両国が同じテーブルについたという事実は事態が好転する兆しである。これは関係改善を求める両国の希望を示したものだろう。私たちはこうした点を踏まえ、中国と日本の首脳による北京での会談を歓迎したい。

しかし、中日関係が今回行なわれたわずか1回の会談を通してこのまま好転していくとは考えていない。尖閣諸島(中国側呼称:釣魚島)における領土問題が合意に達していない以上、両国関係の修復にはさらなる時間が必要とされると認識している。この領土問題には長きにわたる歴史的背景が存在している。

領土問題の発端は日本政府が尖閣諸島を栗原家から購入した2012年9月5日に遡る。中国は日本の購入に抗議し、同地域の領有権を主張した。

同諸島は日本が清国の領土所有がないことを確認した後、1895年1月14日に沖縄県に編入された。1900年には古賀辰四郎の所有となったが、1940年に失敗した事で同諸島は放置された。日本が太平洋戦争でアメリカに敗れた1945年以降、同諸島はアメリカが支配した。1969年、国連の委員会のひとつが尖閣諸島周辺に天然ガスや石油の埋蔵を確認した。

1971年、アメリカが日本に同諸島を返還すると、中国と台湾が自国領土であるとの主張を開始した。1972年、古賀辰四郎の遺産相続人が同諸島を栗原家に売却した。中国との関係が緊張したのは、日本政府が同諸島を栗原家から購入した2012年以降のことだ。 

こうした両国の緊張は安倍信三首相が、日本の英雄を祭る場所である靖国神社に参拝して以降、さらに悪化した。問題となったのは、靖国神社に祭られた日本の英雄の数名が中国と韓国には戦争犯罪者であるとみなされているためだ。

中日関係は非常に困難な状況にある。しかし、対話の意志があるならば、両大国には地域の安全と安寧の妨げとならない事を望みたい。

Kompas, Rabu, 12 November 2014
Tajuk Rencana: Hubungan Tiongkok-Jepang Membaik

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