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2014年10月20日付けコンパス紙社説「インドネシア・マレーシア国境紛争の複雑さ(Rumit Sengketa Batas RI-Malaysia)」の翻訳です。マレーシア大使の国境問題に関する発言を念頭に、インドネシアとマレーシア両国が現在でも互いに争う国境問題の現状について論じています。

インドネシア・マレーシア国境紛争の複雑さ
コンパス(2014年10月20日)

マレーシア政府はこれまでもインドネシアとの国境紛争の解決に向けて本気で取り組んできた。

マレーシアのザフライン・モハメド・ハシム駐インドネシア大使は10月17日金曜日、ジャカルタでこう強調した。これは今週月曜日、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領が、領海線決定専門チームを大統領宮殿に迎えた際の声明を念頭に置いたものだ。大統領はその時、「私はマレーシアに声を大にして提案したい。両国間に残された対立を解消するべく、ともに本気で取り組もうではないか、と。私の目には、マレーシアは他の国と比べると、問題の解決にあまり積極的ではないように映る」と語り、その際、特にシンガポール、フィリピン、そして東ティモールに言及していた。
 
マレーシアにとって、この大統領の声明は受け入れ難いものだった。インドネシアとマレーシアおよびインドネシアと他国との領土問題を一般化するのは問題の単純化である点を考慮すれば、マレーシア側の反応も理解できる。なぜなら、インドネシアと近隣諸国間の国境問題はそれぞれが互いに異なる複雑さを持ち合わせているからだ。

マレーシアとの国境問題の解決は決してたやすいものではない。この問題に関して、インドネシアはオランダ領東インド植民地政府の支配地域全域が自らの領土であると主張するが、マレーシアは他方で、イギリス植民地政府が支配した全ての地域が自国の領土であると主張している。問題はインドネシアが用いる地図(オランダの地図)とマレーシアの地図(イギリスの地図)が異なる点にある。複数の地域で両国が主張する領有権が重複しているためだ。
 
加えて、スハルト政権期にはインドネシアとマレーシアが合同で行なった軍事演習において、両国が異なる地図を用いたことが原因で、インドネシア国軍に複数人の犠牲者が出る事故が発生した。
 
こうした理由から、インドネシアとマレーシアの領土紛争の解決は常に長い時間を要してきた。氏パダン島とリギタン島の領土紛争が長期化する中で、スハルト大統領とマレーシアのモハマド・マハティール首相は最終的に、この問題の判断を国際司法裁判所に委ねた。そして、両島ともにマレーシアに帰属するとの判決が下された。
 
だが、厄介のなことに、マレーシアとの領土紛争はまだ他にも残されている。そのうちのひとつが、西カリマンタン州サンバス県タンジュン・ダトゥの国境地域だ。この場所では今年五月にマレーシアが建設した灯標をきっかけにインドネシア側が激しく抗議する事態が発生している。
 
インドネシア政府にとって肝要なのは、大統領が誰であろうとも、マレーシアとの領土紛争は容易に解決できる問題ではなく、多くの時間が必要とされると理解することだ。

Kompas, Senin, 20 Oktober 2014
Tajuk Rencana: Rumit Sengketa Batas RI-Malaysia